岩手県大会決勝

 10月21日 黒沢尻工ー黒沢尻北@盛岡南競技場 IBCの放送にて記録
 

 黒沢尻工
 ①藤倉 2杉澤 3畠山 4安倍(あんばい) 5高橋(諒) 6作山 7高橋(聖) 8藤原 9佐々木(滉) 10古川 11中澤 12佐々木(圭) 13西村 14前川 15半田 (〇がキャプテン)

 黒沢尻北
 1高橋(侑) ②菊地 3高橋(宗) 4高橋(康) 5小原 6大澤 7阿部 8居駒 9千葉 10八木 11児玉 12高木 13梅津 14市村 15畠山 (〇がキャプテン)

 FW平均体重は放送されず。ただ、黒工の方が平均で4㎏重いとのこと。


 
 
 一言でいえば、もどかしい試合なのだった。その一言がいろいろ複雑なもので成り立っているのであるが。

 

 開始早々から黒北のペナルティが続く。黒工はそのたびに速攻やタッチキックで陣地を進め、黒北ゴール前でマイボールのラインアウトとなる。サインプレーで抜け出した2がゴールラインに迫ると、黒工はモールを組んで押し込もうとするが一旦はグラウンディングできずにキャリーバック。このスクラムからラックを経た後モールを再び組み、6がトライ。14のゴール決まらず5-0(試合内容とは全く関係ないが、黒工のキッカーの下の名前は「亜蘭」。フランス人なのだろうか←違うだろ)。

  
 黒北は、相手キックキャッチからのカウンターで攻める。中盤では大きなゲインが見られるが、ゴール前でBKが仕留めきれない。外で勝負出来そうなところでもボールを離せずラックになってしまったり、パスがうまくつながらなかったり。
 黒工のペナルティや再三のダイレクトタッチによって、黒北が黒工陣22メートル付近にいられる時間帯は続く。 やや左寄りの位置で黒北はペナルティをもらうが、ゴール狙うことはしない。ラインアウトからのモールで攻めようとするが、組んでもらえず、BKに展開したところでターンオーバー。黒工がタッチに逃れたラインアウトをミス、と、完全に取り損ねるパターンだったのが、9の見事なタックルから流れを引き戻す。ノットリリースを勝ち取ると、ラインアウトからモール(も、モールかよ…)、押し切れずに展開し、最後はFWが近場を攻め8がトライ。13のゴールは外れ5-5。時間は21分(くらい)。


 この後のキックオフをノックオンしてしまうあたり、やはり黒北がぴりっとしない。ここから黒工は相手ペナルティを得てきっちり得点に結び付け、12-0とする。モールを押し込んでのトライに、今度はコンバージョンも成功した。キックオフ後更に黒工がチャンスを迎えるかに見えたが、タッチに蹴りだして前半終了。


 後半。お互いのミスやペナルティで攻守がくるくる入れ替わる。先に黒工がモールを押し込み、黒北ゴール前まで進んだところで崩れてラック。もう一度組み直したが押し込めず、パイルアップで黒北スクラムとなる。
 互いのミスは続く。そんな中、速い出足のディフェンスから相手をペナルティに追い込んだ黒北は、ラインアウトから11のゲイン、更に10、8と前に出て、最後はラックサイドを9が飛び込んでトライを決めた。ゴールも決まって、12-12の同点。


 膠着状態が始まる。残り時間はおよそ20分。
 黒工は、自陣からでもお構いなしに頻りにモールを組む。かなりの距離を押し込めるのだが、ゴールは遠く、組み直そうとするところで反則が出たり、ボールがきちんと出せなかったりすることが繰り返されていく。
 黒工陣で戦う時間が長くなるのだが、黒北もゴールラインが少し遠い。WTBまでボールは渡るが走りきるにはやや距離があり、ディフェンスが間に合う。攻める際に互いにミスが出、防御に回ると粘り強さを発揮する。
 主導権を握れない。主導権を握らせない。「握らせない」せめぎ合いが、ちょっと見るとつまらなく思える情景を作り出している。

 
 それまでも黒工モールを止めていた黒北だったが、残り時間5分に来て更にしっかりと相手の攻め手を打ち砕く。相手よりも早く準備を整え(モールが組みあがっている)、相手よりも低く組む。黒工は効果的に陣地を回復することが出来ず、自陣にくぎ付けのままだ。
 
 黒北ノックオンのスクラムから、黒工がタッチに蹴りだす。これが出ない。キャッチしたところからこの日何度も素晴らしいランを見せる11が、一気に抜ける抜ける。トライには至らないが、タッチに出たボールを黒工が触って出したというジャッジで、黒北は黒工ゴール前でマイボールラインアウトを得る。BKに回し、右に左に振った後、2が飛び込むがグラウンディング出来ない。キャリーバックスクラムとなった時点で時計は29分52秒。ロスタイムはほとんどない。

 スクラムから、右に攻めるがラック。更に10が自ら持ち込みラックとなったところで、ボールを出した9が短いパスを13に放った。
 キックが伸びていく。バーを越えた瞬間、黒北の勝利が確定した。
 


 

 決勝を実況したアナウンサーは、黒工はFW、黒北はBKのチームと明確に色分けし単純な構図にしたかったようだが、解説者が述べられていた通り、どちらも展開を志向しているチームだというのが実際のところだろう。赤べこ軍団の呼称に惑わされてはいけない(使いたくはなるけど)。
 FWも走りまくってボールを運ぶのが黒工(特に、走力のある3列が強力)、高速バックスで一気にトライを取るのが黒北(’08の岩手決勝の素晴らしさ)、というのが今まで私の見てきた印象だ。

 しかし、この日の黒工はとにかくモールにこだわった。それが、自分たちの強みを生かそうとしての選択だったのか、黒北にボールを持たせないための戦略だったのかは分からない。分からないけれど、後半になってからはモールで攻めきることは出来ず、結果的にはそれが自陣からの脱出を難しくし、最後の幕切れをおぜん立てすることになってしまったのは確かだろう。
 走り回っていたら、どうだったのかというのをずっと考えさせられる姿だった。


 
 黒北は、確かにBKで攻めたのだが、実は崩してきれいにとったトライはなかった。一本目は黒工と似た形でのトライであったし。攻めても攻めても攻めあぐねるパターンは、挑戦者の側であれば、勝利体験がないだけにどんどん焦って気持ちから崩れていくことが多い。それでも最後まで攻めて勝利を掴んだところに、大きな意味があるように思える。
 後半のモールディフェンスも光った。実は、前半の黒工一本目のトライから、黒北のディフェンスが機能しそうな気配はあった。黒工がすんなり押し切ってトライをとってしまうのではなく、しつこく防いでなかなかグラウンディングをさせないことに成功していた。
  

 黒北11児玉君は、去年、菅平でU17の試合を見て印象に残った選手だった。その際にはSOだったので、メンバー表でWTBだったのには驚いたが、切れ味鋭いランは観客を楽しませてくれる。彼でもっときれいにトライをとれる形になると、全国でも面白い試合を見せてくれるかもしれない。

 



 盛岡工、ついに「準決勝」で敗れる。
 ここ数年、岩手県大会決勝は、チームの経験値というものを考えさせられるものであり続けた。それは、盛岡工が花園に出られなくなり、弱くなっていく様子を結果的に追いかけることになっていた。
 
 黒沢尻北を退けた時は、リードされても落ち着いて自信が揺らがないのが分かった。
 黒沢尻工に最初に負けた年は、接戦であったこともあり、まあこんなこともあるだろう、という感じだっただろう。
 翌年、「ここで勝たなければならない」という意識は明確でも(花園に二年続けて出られないと、花園出場の経験を継承していくことがとても難しくなる)、それが気負いとなったのか競り負ける。
 そして、昨年は、自信から不安へと盛工の選手たちの針がふれてしまっているのが見えた気がした。必死さと同時に、勝ち方が分からないという脆さが漂っていた。

 決勝のハーフタイムに挟まれた準決勝の映像を見た感じでは、盛工は、黒北にいいように走られ、回されてトライをとられていたようだ。

 この学年は、新人戦では盛工が優勝したのであったが…。
 今年の新人戦でも黒沢尻北に85-0で負けており、復活への道は厳しいかもしれない。岩手の高校ラグビーシーンもまた変わるか。
 
 
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by kefurug | 2012-11-16 23:49 | 花園予選’12

とりあえず、非常に個人的な思いを書き綴ります。


by kefurug