外に出す

 山下昴大は考えなかったのだろうか。



 自分がNO8に全く向いていなかったらって。
 チームのためにはWTBでいるのが最上の選択なんじゃないかって。

 キャプテンになってから、チームのために体を張りたいと自ら志願してNO8に転向。どこか、去年のチームへの尊敬、中でも偉大だった前キャプテン有田隆平の影も透けて見えるような気もする。
 それが卑屈ではない。単なる憧れでもない。まさによき「お手本」として去年のチームはある。そして、お手本はお手本であり、必ずしもその通りにしなくてもよい。重圧はあっただろうが、去年と 「同じチーム」である必要はないと分かっていたのかもしれない。同じ戦い方を見せながら、去年の影に怯えることなく見事にチームをまとめ、たった一つの「勝ち続けた学校」となった。そして、山下自身も優れたNO8となっていた。

 もし山下昴大が、NO8にふさわしくなかったら。NO8として成長することが出来なかったら、どうなっていたのだろう。
 「体を張りたい」という自らの思いだけを優先するなら、それがどんなにチームのための願いであったとしても、転向をごり押しするのはキャプテン失格である。
 だからこそ、それでもNO8でプレーすることを選び、監督がそれを認めた時点で、彼は成功することを絶対の義務として自分に課した。チームを引っ張るNO8になることが「可能か否か」ではない。「なる」のだ。
 
 思いは、形にすることも、相手に伝えることも、相手に理解してもらうことも、難しい。
 山下は、皆に思いを伝える道を真っ直ぐに駆け抜けた。自分の為すべきことを為して。
 
 願いは届いた。チームメイトに。応援してくれた全ての人に。ラグビーの神様に。そして、天国の友に。 
[PR]
by kefurug | 2008-01-24 17:02 | 高校ラグビー

とりあえず、非常に個人的な思いを書き綴ります。


by kefurug