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縦横無尽 (ジュニアラグビー 福岡県選抜 その1)

 花園は薄曇だった。



 バックスタンドにやけに人が少ないと思ったら、バックスタンドは解放していない旨のアナウンスが入る。少し寂しく感じるが、そんなことは試合には関係ない。それでも、もっと多くの観客に見守られてもいい内容の熱戦が繰り広げられた。

 
 一回戦 福岡県選抜ー東京都スクール選抜 @Aグラウンド 17分ハーフ

 福岡選抜 
 1清原 2堺 3出口 4山下 ⑤木村 6荒井 7久富 8齋藤 9石松 10村田 11中野(成) 12合谷
 
 東京都スクール選抜
 1畠山 2堀切 3須藤 4上原 5菊池 6浦部 ⑦井上 8鈴木 9石丸 10石塚 11山崎 12橋本

 ※中学生は1チーム12人、FW第三列がいない陣容でのラグビー
 ※選抜チームのためか、背番号とポジションが一致しているチームとそうでないチームがある。福岡は一致、東京はプログラムでの登録番号と背番号が一致かと思ったが、名前を確認するとどうもそうではなく、東京の方は不明。電光掲示板に発表されるのはポジションの番号で、そちらを記録した。
 

 前半 福岡のキックオフ

 いきなり全開でぶつかりあう両者、激しいタックルの応酬の後、福岡がラックをめくりあげターンオーバー。後手に回った東京はペナルティを犯す。タッチキックからのラインアウトをキープした福岡はモールからすぐにBKに展開、7からほとんど手渡しのように受けた短いパスから、10がギャップを突き真っ直ぐに走る。大きくゲイン、きれいなフラットパスを9へ、受けた9も真っ直ぐに走り、ディフェンスを二人引き付けてボールは11へと託される。バックアップのディフェンスは間に合わず、11が飛び込んで見事なトライ。ゴールは外れたが、開始早々5-0と福岡が先制する。
 
 
 試合は、既に福岡が主導権を握っている。さすがに、間をおかずにトライを量産…という訳ではなく、福岡にもミスは生じるが、その後のプレーで取り返してしまう巧さと強さ、早さに脱帽である。東京はどうしていいか分からず、福岡のペースに巻き込まれていく。
 BKの秀逸なランニングが目に付く。いきなりぶつかっていくのではなく、横に流れて相手を引き付けてからすっと縦にコースを変えるとディフェンスに穴が開き、抜ける。更に、チームが明確に「外勝負」の意識で戦っているのが伝わるのも非常にうれしい。ぶつかり合うラグビーもそれはそれで見応えがあるが、きれいに抜けていくトライは、見ていてそれだけで単純に美しい。
 そういうチームを作っている指導陣の思いにも尊敬の念を抱く。選抜チームそのものだけでなく、普段のスクールでの日々の賜だろう。
 

 10分、福岡はスクラムを起点に2がトライ。1がボールイン、出たボールを受けてそのまま持ち込むというアタックから生まれたもので、1番の強さを生かせる、スクラムコンテストがない中学生ならではの戦術である。斬新に思えたが、大人でこれをやろうとするとPRが、しかも走力のあるPRが何人も必要で、無理と考えるのが妥当だ。(しかし、これを書きながらふと「もしかしてそういう時代が来るのかもしれない…」と思わなくもなかった。PRのような頑健さを持ちつつ走力のあるBK…例えばそんなSHがいたら恐ろしすぎる)。


 終盤に差し掛かり、福岡のペナルティが重なり漸く東京が攻め込む。しかし、東京はマイボールのラインアウトをキープできず、福岡5が素早く反応してターンオーバー、10が左サイドにキックを蹴り込む。東京はこれをノックオンしてしまう。すぐさま反応した福岡8が軽くキック、チェイスし、ライン際でキャッチ。タックルを受けながらもタッチを割ることなくボールを生かす。12から6(←多分)へとボールは渡り、5がリップするかのように短いパスを受けてディフェンスの隙間を一気に抜ける。捉まりながらサポートの8へパス、8は一気に走り切りトライとなった。ゴールは外れ、前半終了、17-0。


 後半、東京がキックオフをいきなり失敗、福岡ボールのセンタースクラムとなる。出たボールを受けた9が走る。気づくとゴールラインはもうすぐそこだが、東京も必死に捉まえる。ラックとなったところから何とかボールをキープし続けて最後は3がトライ。後半も先手を打ったのは福岡だった。東京はミスから相手を勢いづかせたのが痛い。ゴール決まらず、22-0。
 しかも、この後のキックオフをキャッチしたところからまたも福岡9が大きくゲイン、一気にゴール前までボールを運ぶ。東京のペナルティがあり、すぐさまFWで行こうとした福岡だが、オブストラクション。息もつかせず連続トライ、とはならず。


 しかし、福岡はその後またもターンオーバーを果たす。カウンターを仕掛けた際に惜しくもタッチラインを割っており、東京ボールのラインアウトとなるが、東京がキープ出来ずノックオン。スクラムの後、更に東京がペナルティと福岡の勢いが続く中、10がタックルを受けながら放ったパスを取って9がゲイン、柔らかいパスが12から19へと渡り、トライとなる。ゴールが決まり、29-0と突き放しにかかる福岡。
 このような戦い方をする相手に慣れていないということなのだろう。東京は目の前の選手に翻弄されてついギャップが出来てしまう。接点の部分で圧倒されているのも動揺を誘い、どう戦っていいか分からなくなっていたかもしれない。


 後は福岡は攻めるだけである。相手のペナルティからラインアウトを起点にBKに球を展開する。デコイの後ろから走りこんだ12がゲイン、ダウンボールしたのをラックにならない内に16が捌く。19から15へとボールは渡り、ライン際を15が走り抜けてのトライ。ゴールは外れ、34-0。


 どうにかして1トライ挙げたい東京が必死に攻めるが、ターンオーバーや、自らのペナルティなどでリズムがつかめない。それでも、福岡のミスとペナルティから敵陣に入る東京。だがやはり、トライに結びつかない。
 ロスタイムに入る。
 東京の反撃はならず、結局、福岡がターンオーバーからラックを連取し、最後は14が拾って更にトライを決める。ゴールも決まり、41-0で試合が終わった。


  試合は一方的なものだった。しかし、東京の選手たちの、ボールを持った際に相手をかわそうとする時の様子などは、さすがに全国に出てきたチームだなと感じさせるものがある。しかし、福岡の速いディフェンスがそれを上回っているので、どうしていいか分からずどんどん打つ手がなくなった…というのが実際のところなのではないだろうか(シャロー、ではないと思うのだが…最近シャローってどういうことですかと悩みに突入しているので、この辺りの語が間違っていたらご指摘いただければ)。
 大敗の中でも、6と7はボールを持つと力強い走りを見せた。特に6は素晴らしい。出来れば注目していきたい選手である(背番号しか分からない…。一体彼は誰なのか?「それは僕です!」「それは彼です!」情報、もしありましたらお待ちしています)。

 
 福岡の選手たちは、何より、走る時に低い前傾姿勢なのがいい。ちょっと受け売りだが、姿勢を低くしていれば左右どちらにもステップを容易に切ることが出来る。低いタックルを受けても倒れない。単なるスピードより、抜いていく時の巧さが目に入るのはそのせいだろう。
 BK陣はみんな見事なランナーだ。この試合では特に、9のストレートラン(などと呼んでしまうが)は素晴らしい。しかし、これだけBKが走れるのはFW陣の献身があるからだと感じる。ラックで相手を何度捲り上げてターンオーバーを果たしたか。ラインアウトがしっかりしていて、これもターンオーバーがあった。そして、要所要所でアタックにも顔を出すキャプテン5のひたむきなプレー、運動量には感心する。
 一回戦だけで「このチームに勝てるところはあるのだろうか?」と感じてしまったのが正直なところだ。


 二回戦では、この福岡県選抜が大阪選抜と対戦することになる。(続く)
 

 
 <言い訳等々>
 以前、簡単に感想を書いた記事があるために、内容が重複する部分がありますが、ご容赦願います。その部分を抜いては書けませんでした…。
 
 長く書くしかない試合かなと感じ、様子をお伝えしたく、細かく書いてしまった結果、記事が長くなってしまいました。二回戦(準決勝?)へと続きます。申し訳ありません。
 


 書いていてふと思ったのは…。
 本当は高校生の関東大会なども長く書きたかったなあと…。難しいです。力が無いので細かく書かないと、表せません。読んでいただいている方には本当に申し訳ないと思います。
 お付き合いいただければ幸いです。
by kefurug | 2009-02-19 23:35 | rugby

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