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夏の名残 美しき芝

 日本で一番、早く花園への切符を手に入れられるチーム、北海道代表。



 今年の一番乗りは南北海道代表、札幌山の手。
 二番手が北北海道代表、北見北斗である。


 ということで、今回は北見北斗の北北海道大会(この前に支部の大会がある)の準決勝からの試合の観戦記(編集したものをいただいているので、経過時間が分かりません。ご容赦)。

 
 準決勝 北見北斗 23-15 遠軽

 仲の良い、そしてライバルであるらしい両チーム。
 遠軽のキックオフで試合開始。負けられない戦いの立ち上がり特有の緊張感、互いに細かいミスで攻め切れない。まずは北見北斗が遠軽のノットリリースザボールから、PGを選択。14が決め3-0とする。

 
 遠軽のタックルが高いのが気になる。ディフェンスに行くのだが、二人がかりで行っても差し込まれる。ボールに絡みたいのかもしれないが、そういう戦略に持っていくことも出来ていない。しかし、北見北斗はまだそこに付け込めない。


 今度は北見北斗がハイタックル。遠軽は9がPGを決め、3-3。
 直後、キックオフをキャッチしてから蹴り返した遠軽15のキックがダイレクトで出てしまう。そこからのラインアウトを北見がキープ、ラックから9が素早くサイドをゲイン、ボールは15へ。15がタックルを受けながらもうまく走り切りインゴールに飛び込む。ゴールは外れ、8-3となる。


 このキックオフをキャッチしたラックで、今度は遠軽がターンオーバー。北見陣22m付近で北見がペナルティ。これを、今度はゴールを狙わず攻める遠軽だが、得点には至らず。ここで詰められなかったことが試合にずっと響いていく。


 ピンチを脱した北見は再びPGのチャンスを得る。これが決まり、11-3。スコアはこのまま前半を折り返す。


 後半。
 やはり互いになかなか攻め切れない状況。遠軽がボールをキープしゲイン、敵陣でボールをつないだのだが、何故かプレッシャーのない状況で8がノックオン。大きなチャンスを逃す。
 しばらく膠着状態が続き、ラインアウトから北見が攻め込む。ラックから1がボールを持ち出し、走る。捉まりかかるところを10が受け取り、そのまま走り切ってトライ。左隅の難しい位置ながらゴールも決まり、18-3。


 この後、遠軽は北見のペナルティからタッチキック。ラインアウトをキープしたところで北見が再びペナルティ。ちょっと間は空くも、すぐに攻めた遠軽は何とか右に右にラックを連取し、8が抜けてトライ。ゴールは決まらず、8-18。
 更にキックオフからも遠軽は攻め込むが、ノックオンで流れが途切れる。そして変わる。
 遠軽が敵陣に少し入ったところでペナルティ。そこから北見9がすぐ行き、あっという間にゲイン。そのままゴールライン間際まで疾走、捉まりかかるところをサポートの13に渡しトライ。ゴールは失敗するも23-8とセーフティーリードに逃げ込む。


 残り時間が少なくなる中、必死の遠軽の攻撃の前に、北見がペナルティを重ねる。そして蹴り合い。それを制した遠軽が最後8のトライ(ゴール成功)で15-23と追い上げる。その後のキックオフから攻め込むが遠軽ペナルティ。北見が攻め返し、8がインゴールにキック。選手たちが追うも合わせられずタッチに出てしまい、そのままノーサイド。
 北見北斗が攻め込んでいた割には、得点は開かなかった。それはやはり、遠軽の執念によるものなのだろう。

 
 決勝戦 北見北斗 10-5 富良野

 前半、富良野のキックオフ。
 富良野のミスキックから、先に北見がチャンスを摑む。しかし、ペナルティやボールを弾くノックオンはあるものの防ぎ続ける富良野のディフェンスの前になかなかトライまでに至らない。一旦は富良野がタッチキックで陣地を回復。
 しかし、このラインアウトからボールをキープ。攻め込んでラックを連取しながら8が近場をもぐりトライ。14のゴール成功し、7-0。


 更にキックオフをキャッチしたところから北見8が再びゲイン。敵陣でペナルティを得ると北見はPGを選択。成功し、10-0とリードを広げる。


 ここから富良野は反撃に転じる。11が大きくゲイン。更にキックで敵陣深くに入る。相手ボールラインアウトだが、この後のキックのカウンターから富良野が攻め続ける。ペナルティ、タッチに出されるなど、それぞれ一旦は途切れるのだが、そこからボールを得ればまた攻める。走るBK、しかし、なかなかインゴールに飛び込めない。敵陣でのマイボールラインアウトを得ても、ノットストレートなどの細かいミス。かなり北見のプレッシャーがかかっている様子。富良野14が突っ込んでラックになったところから攻守ところを変え、北見が攻勢に。
 北見も、ディフェンスのプレッシャーにボールをつなぎ続けられない。攻めるも追加点は奪えないまま前半が終わる。


 後半、早く取りたい富良野だが、タッチがダイレクトで出てしまい、北見を自陣に入れてしまう。
 北見北斗はモールを組み押し込むも、BKのパスが通らない。北見のノックオンからのスクラムから、パスを受けた富良野13がうまくディフェンスの裏に出て絶好のチャンスを迎えたが、スローフォワードの判定。
 やはり膠着状態は続く。北見はタックルを受けてノックオン。パスを回す富良野、前に出られない。外に回して抜く状態を作れない。


 北見が自陣22m付近からダイレクトタッチを蹴ってしまう。富良野はチャンスを迎えるが、一つ一つのシークエンスで悉くミス。ノックオン、ノットストレート、ラックでターンオーバーされる。
 しかし、自陣深くでのことなので、北見北斗もなかなかすっきり挽回するというわけにはいかない。キックを蹴り込めばカウンターで攻め上がられ、スクラムからの8タンはタッチに押し出される。互いに辛抱の時間帯。
 富良野の、ラインアウトでのノックオンによるスクラム(北見北斗陣ゴール前)から、出たボールを北見10がキック。これを富良野9が見事なチャージ。トライはならずも、キャリーバックのスクラムとなる(北見ボール)。この後のキックのカウンターからもう一度攻めた富良野が、最後はラックから9→10→14とつなぎ、トライ。ゴールは外れ、5-10となる。


 1トライ、1ゴールで逆転、1トライで引き分けでもトライの数で富良野が花園へ行くことになる。ここからは北見が攻撃。相手のミスにきちんと付け込み、キックを受ければ今度はこちらからカウンター、「敵陣にいる」「ボールを持ち続ける」の二つを遂行、ディフェンスを簡単に破ることは相変わらず容易ではないのだが、時間を使うことには成功している。
 そんな中、富良野は何とかチャンスを得てももう攻め手と時間がない。ノットリリースの反則をとられ、更に相手がラックを連取する中、ペナルティ。北見北斗、ラインアウトをキープして、9がタッチに蹴り出したところで試合は終了した。


 ゴールに迫った時に相手に比して(あくまでも比して、ではあるが)時間をかけずに取ることが出来た北見北斗が勝利を収めた。富良野は、得点を挙げるのに時間がかかりすぎた。試合のシュミレーションの精度の問題か。それとも、相手、または自分たちの力を見誤ったか。
 富良野の、時折見られる短くふわっとしたパスで受け手が効果的にゲインする場面が印象的だったのだが、仕留めにまでは至らず、回すうちにミスで自らボールを手放すことが多かったのは勝敗に直結した。  


 この記事に書いてはいないのだが、一回戦の中標津戦も見て合わせて、個人的にはSOの選手が面白いと思った(いつものことだよ でもやっぱりこのSO君は目に入る)。パスでラインが動いていく、というのはこの時期まだ完成していないと思えばいいのだろうが、目を引くのはラックサイドや、崩れたフェーズでのランで見事にゲインする場面。9の局面への反応の速さと合わせて、相手をかき乱せたら面白そう。
 そして、前一列の運動量が多い。こういうチームには好感を持てる。特に1はいつも気づくとボールを持っていたり。このまま冬まで突っ走れ!フロントローたちよ(ただ、見た限りでは北北海道はどのチームもフロントローは走る気がする)。
 三試合を通して、ディフェンスが一番しっかりしているのが明らかに北見北斗。一番鍛えられているということで、結果は正直である。
 
 時期を考慮しないで敢て言うと、北海道のチームにこれだけ「すんなり抜いてのトライ」を挙げさせてもらえない状態のままだと、花園二回戦が厳しそう(一回戦は十分戦えるだろうけど…)。その壁を突破するどんな策を携えてきてくれるのか楽しみだ。  
 
 
 帯広の森球技場の美しい芝の緑が目を惹く。
 その上で繰り広げられる熱い戦い。高校生がラインアウトに跳ぶ姿というのは、それだけでどうしてこうも美しいのだろうと改めて感じる。


 北海道では、もう新人戦が戦われている。道内でただ二校、新人戦のチームと花園へ向かうチームとの両方を作り上げなければならない苦労を経験するチーム。北のチームゆえの苦労を乗り越えて花園に立てる喜びを、存分に味わい続けて冬を迎えてほしい。

 北見北斗ラグビー部のブログはこちら。 準決勝で負けた遠軽が、次の日、北見北斗の練習相手に来てくれたなんて記事を読むと、ラグビーっていいなあって思います。



 

 謝辞
 北海道は決勝のTV放映がなく、諦めていたが、「10-5」のスコアにどうしても見てみたく、思い切ってお願いしてみたところ、北見北斗高校の顧問の森山先生から映像が頂けた。
 森山先生、本当にありがとうございました。
by kefurug | 2008-10-17 23:01 | 花園予選’08

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